The World's End(ややネタバレあり
今回はビールではなく、ビール映画の話を。
去年のしたまちコメディ映画祭in台東で上映されたワールズ・エンドがようやく日本で一般公演されました。エドガー・ライト×サイモン・ペグ×ニック・フロストの3人が大まじめに巫山戯た映画を撮るという三作目。ショーン・オブ・ザ・デッドもホット・ファズも大好きですが、今回はビールのお話なのでこのブログでも話題にせざるを得ません!
「ショーン・オブ・ザ・デッド」(2004)、「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」(07)のエドガー・ライト監督と主演サイモン・ペッグ&ニック・フロストのトリオが、母国イギリスを舞台に描くSFコメディ。20年前、一晩で12軒のパブをめぐる「ゴールデン・マイル」に失敗したことが忘れられないゲイリーは、再挑戦するために当時の仲間アンディら4人を集め、故郷ニュートンヘイブンに舞い戻る。やがて5人は、町の人々の様子がおかしいことに気づくが、戸惑いながらもひたすら12軒目のパブ「ワールズ・エンド」を目指して飲み続ける。
この紹介文だけでこの映画絶対最高だと思う人、私と似た感性の持ち主です。
ストーリーはあらすじの通り、学生時代に青春を共にした悪ガキ5人組が二十年ぶりに集まり、かつてクリアできなかった酒飲みゲームをやり直そうというストーリー。卒業しておのおのの道へ進んだ同級生達を故郷の田舎町に呼び集めたのが、サイモン・ペッグが演じるゲイリー・キングというわけ。
車のディーラー、ゼネコン、不動産業、弁護士、とまるで資本主義の象徴のような道に進んだ親友たち。一方ゲイリーは子供の頃と全く変わらないままマリファナ中毒で惨めな人生を過ごしています。どうしてこうなった?自問し続ける日々・・・。
うんざりする麻薬治療集団カウンセリング中、つい語ってしまった青春時代の思い出に対して他の患者から「で、結局お前ら最後の店には行けたん?満足したん?」と質問され、彼はハッと思います。人生をやり直すために、あの輝かしい日々の思い出を再現できればもしかしたら俺は前に進めるかもしれへんと。
ゲイリーは、薄くなってきた頭に中二病全開ゴス系ファッションをキメて仲間たちを訪ねます。いや待て仕事あるだろ、家族も子供もいんだよ、つーかてめーどの面下げて来てんだ。なんやかんや理由を付けて断ろうとする大人になってしまった彼らに落胆しつつ、懸命にゲイリーは説得を試みるが・・・。
いいか、わかったな。○○日だぞ、絶対待ってるからな。
そして挑戦当日、仲間は果たしてやってくるのか。1UKパイント×12件=6,816mlの挑戦は果たしてどんな結末を迎えるのか?
この映画何が良かったかというと、友情劇なので当然「男の友情」。そして酔っ払っていくことにより解放されていくオトナの滑稽さや哀しさでしょうか。初めは理性的に振る舞おうとしている面々が、酒が進むに連れ、またとある超常現象的な存在との邂逅により大人の仮面がどんどん剥がれていくカタルシスは、シンプルに笑えます。
そして題名のワールズ・エンドにある通り最終的に世界が一度終わってしまうわけですが、新世界で初めて酒も麻薬の力も借りずに自分を解放できた主人公ゲイリーの姿はあまりにも痛々しい。「俺が変わったんじゃない、世界が変わったんだ」という主人公の言葉は、そのまま「俺が変なんじゃない、世界がおかしいんだ!」にも繋がり、そうやって突っ張ることを諦めてしまった私には身につまされる思いがあるのです。
いい映画でした。
あと観終わった後は間違いなく酒を飲みたくなります。ホブゴブリンやベルク、ポパイでどっぷり余韻に浸って、また明日からの現実に備えましょう。
ということで乾杯!(1パイント目)