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飲んだ - Stone Enjoy By 08.16.14 IPA

昨日各方面で一斉に入荷情報が広がった、ストーンブリューイングの激レアビールがうちにも届きました。
限りなくホップを新鮮に感じられる状態で飲めるように、厳しい輸送管理と消費期限設定でごく少数だけ流通する問題作。「08.16」とは8/16日までに必ず飲めという意味が込められています。
日本に着いた頃にはもう残り時間は一週間なのでどこも予約分のみの取り扱いのようですが、昨日は熱い中を探しまわった人もいたみたいですね。
ratebeerのスコアは100。


『創業以来、溢れんばかりのホップへの愛をストレートに表現し続け、数々の素晴らしいIPAを生み出し続けてきたStone Brewingですが、そのホップへの偏愛の結晶とでも言うべきが”Enjoy By 08.16.2014 IPA”と言えるでしょう。
全てのビールにとって、新鮮さは正に命ですが、柑橘類などのフルーツや草花、ハーブなどに喩えられ、華やかでアグレッシブ、時に麻薬的ですらあるホップのアロマを特徴とする西海岸スタイルIPAなら特にフレッシュさは最重要事項。しかしそのホップアロマはフレッシュで複雑であるほど繊細で、適切に温度管理しないと容易に崩れてしまうし、適切に管理したとしても時間経過で徐々に本来の輝きを失っていってしまいます。
今回ご案内する”Enjoy By 08.16.2014 IPA”は、そんな魅惑的ながらも繊細なホップの魅力を最大限に発揮するよう作られました。その醸造行程は正に超人的。マッシングの段階でカリプソを、煮沸段階で苦み付けにごく少量のスーパーガレナを、そしてビタリングホップを最小限にして、大量のフレイバーホップから苦みも同時に得るという”Hop Bursting”の手法を駆使し、煮沸の最後にシムコー、デルタ、ターゲット、アマリロを、ワールプールではモトゥエカ、シトラ、カスケードを投入して作られています。この時点で既に超ホッピーであることは容易に想像がつきますが、そこはStone。ここから更に、NZ産のネルソンソーヴィンとオーストラリア産のギャラクシーをそれぞれ1バレル当たり1ポンド投入してドライホッピング。ここまでで実に醸造の5段階において13種ものホップ(上記の他にアータナムとヘルガも使用)を投入するという目眩がするような技巧です。
出来上がったこちらのビールも非常にフレッシュで複雑かつ繊細な香りと味を身に纏っておりますが、当然ながらその魅力は通常のクラフトビール以上に繊細で、長くは保ちません。そのことを自覚した上で醸造されたこのビール、そのホップのアロマとフレイバーを存分に味わってもらうため、Stoneは推奨賞味期限を製造日から35日以内に定め、”Enjoy By 08.16.2014 IPA(この日までに楽しんでください)”を商品名として掲げてしまったのです!
そんなホップラバーズには夢のようなこちらのビール。その短いシェルフライフのため、輸入はかなり困難と思われておりましたが、ついに実現!!
(広報資料より引用)

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やや淡色のゴールド。新鮮で溢れんばかりのホップの香りに、長く深く後を引く苦味が複雑な余韻を残す。ツイートにも書きましたが、ハッカ(スーッとするという意味ではなく)のように口の中にホップのアロマ成分が滞留しているような感覚がします。鼻の周りがフワフワして、ホップがハーブであることを再認識します。
ボディは中くらい~フルボディで、ホップに負けないフルーティで贅沢な甘味。
掛け値なしに激ウマです!

単純に洗練されたIPAという点でも素晴らしいですし、工場や現地だけで飲める出来たてビールのあの新鮮さを流通する商品でもやってしまうという壮大な無茶振りを、システムを駆使して実現するあたりはアメリカ企業らしいですね。

あー、思い出してIPA飲みたくなってきた!


商品名:Stone Enjoy By 08.16.2014 IPA
スタイル:ダブルIPA
原産国:アメリカ
原材料:麦芽、ホップ
アルコール分:9.4%
IBU:88
満足度:★★★★★


#追記
六本木ブリュードッグや池袋ビーボなどで続々と開栓情報が回っています。そしてどこも共通しているのは、徹底した温度管理と極めて提供期間が短いという話題をアピールしていますね。
ただ、このような気配りと品質管理は、本来どのビアバーでも当然やっていることで、牛すき鍋定食のような扱う人がこの商品の為だけに特別な苦労をしなければならない、という傲慢なケースではありません。

しかし一方所変われば、要冷蔵酒を常温にさらす大ポカをやる店や、屋外にビールケースを並べてしまう量販店もまた、当たり前のようにあるわけです。
ストーン醸造所が発したメッセージは、ただ材料と手間をかけて作ったビールは奇跡のように美味いということではなく、当たり前のことを当たり前のように取り組みましょうという、世のビールに関わる全ての人への問い掛けなのではないでしょうか。
百年選手の職人醸造所からは鼻で笑われそうな青臭い話なのかもしれませんが、それに共感して参加できるビアバーや酒屋さんが優れたお店なのは間違いありません。