Ein Prosit!!

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呑んだ - アメリカのビール

最近ビールの知識本を読みました。

ビールの作り方やスタイル、どんな歴史背景で今日のビールになったかの知識について書かれており、読み物としても楽しめる内容です。Kindle版が発売されているので、移動中でも手軽に読めておすすめです。

ビールの教科書 (講談社選書メチエ)

ビールの教科書 (講談社選書メチエ)

 

先述しましたが、本書には今日のビールスタイルがどのようにできたかの歴史についても書かれており、それはヨーロッパ圏だけでなくアメリカ圏にも及んでいます。

 私がアメリカのビールで最初に思い浮かぶものといえばバドワイザーで、水のように薄い=アメリカのビールというイメージを持っていました。しかし最近ブルームーンを飲んで、美味しいビールが存在するということもまた体験しています。

呑んでみたよ - BLUE MOON - Ein Prosit!!

気になって調べてみると、どこの国でも同じようにアメリカにも現地で愛されているビールが沢山あるらしい。そしてそれらは、老舗の数社がほぼ独占してしまっているに近い、競争と淘汰が進んだ後だということがわかりました。
生存を勝ち取ってきた彼らが歩んできた考え方は「原材料(ホップもモルトも)や味は多く大きい方が良い」というアメリカらしい精神。私の勝手なイメージにある「薄くて面白味のないアメリカのビール」とは対局です。

ふーむ。沢山の支持と歴史があるのはわかりましたが、じゃあもう飲んでみないことには何も判断できません。ということで、アメリカで最もスタンダードなビールでたまたま入手できた3本を呑んでみました!

 

  • 1本目: Red Hook レッドフック / レッドフック ESB
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    ESB(エクストラスペシャルビター)とは、イギリスでビターと呼ばれる樽詰めされたペールエールをより特別に苦くしたスタイルで、イングリッシュペールエールと表記される場合もあります。IPAは濃いブラウンですが、こちらはさらに赤みがかっています。アメリカの場合は、単純に英国風スタイルを表すためにこの名称が使われる場合もあるそうです。
    レッドフックは1987年からESBを作り続けている老舗で、Googleで「ESB、ビール」と検索するとまず最初にヒットする程のアメリカを代表するブルワリーです。また、レッドフックはドイツビールと同じ「大麦麦芽、ホップ、イースト、水」しか使わないという一貫した製法を取っているのも個人的に良いポイントです。
    さて、味ですがスペシャルビターという名前ほど苦くはなく、柑橘系の風味とのバランスが程よくなっています。すっきり系で飲みごたえも十分。美味いビールです。
    それにしてもレッドフックのボトルは特徴的なデザインですが、何か理由があるのでしょうか?

商品名:レッドフックESB
スタイル:エクストラスペシャルビター
原材料:麦芽、ホップ
アルコール分:6.0%

  • 2本目 シエラネバダ ペールエール

     シエラネバダは、カリフォルニア州にあるアメリカ最古のブルワリーです。創設者がシエラネバダ山脈が好きというシンプルな理由でこの名前になり、美しい風景画が描かれた緑のラベルが印象的です。
    シエラネバダのペールエールは30年間の歴史のあるビールで、酒屋さんにはシエラネバダ飲むならとりあえずペールエール呑め、話はそれからと言われました(笑)
    余談ですが、ヨーロッパでは百年単位でやっと貫録が出てくるような時間感覚なのに数十年で老舗扱いになるのもアメリカらしいですね。
    さてこのペールエール、呑むとグレープフルーツのようなアロマとモルトの甘味と旨みがお互いを引き立てるような感覚を口の中で感じます。素晴らしい調和。飲んでいて本当に楽しいです。これは地元の樽生飲みに行きたいなあ。
    うーむ、しかし泡立たせようとタンブラー使ってみたら泡がひどい感じに。普通に洗剤使って洗うからなあ。

商品名:シエラネバダ ペールエール
スタイル:ペールエール
原材料:麦芽、ホップ
アルコール分:5.6%

 

  •  3本目 シエラネバダ トルピード

    2本目と同じシエラネバダのビールで、IPAです。先述しましたが、シエラネバダは年間醸造については創業から変わらず同じものを作り続けている職人気質なブルワリーですが、2009年に初めて歴史に変化をもたらしたのがこのIPA。トルピード(=魚雷)という名前にメッセージを感じるビールです。以前にIPAならこれマジオススメ、という情報を聞いていたので是非飲みたかったのですが、運良くめぐり合うことができました。
    口に含んで最初の印象は松や爽やかなハーブのアロマですが、直後にずっしりと感じる苦味とホップが口の中で爆発します。正に魚雷が直撃したかのような感触。面白い!ホッピーなビールが好きな私には最高のビールです。普段飲みには少し強すぎますが、とっておきの時に気持ちを高める良いスイッチになりそう。
    これが500円で買えるのはいいですね。

商品名: シエラネバダ トルピード エクストラIPA
スタイル:アメリカンIPA
原材料:麦芽、ホップ
アルコール分:7.2%

 

  • まとめ
    これまで正直、飲んだことのないビールを買うのに敢えてアメリカは選ばない方に意識が向いていましたが、改めようと思います。水っぽいとか言ってすみませんでした、美味かったです。
    また、今回飲んだのがたまたまそうだったのかもしれませんが、食文化の観点からもイギリスのビールから派生したものが、所謂アメリカンペールエールなりアメリカンラガーなのかなという気がしました。これは文献を探せばすぐにわかることでしょうが。両国の同じスタイルを飲み比べてみると面白いかもしれません。
    一点不思議だったのが、今回飲んだビールが老舗のものとはいえど、30年程度の歴史ということです。キリンビールの初代は1907年、アサヒビールは1889年となんと日本の大手ビールメーカーも100年以上の歴史があります。ヨーロッパに至っては言うにも及びません。長ければ良いというものではありませんが、定番化するまでのサイクルの短さはさすがアメリカらしいなと感じます。

 

今回はあれこれ頭使いながらビールに触れてみましたが、飲むより別のことにエネルギーを使い過ぎてこの方法は自分には向いていないかなと感じました(^_^;)
明日からはまた素直に目の前のビールを楽しもうと思います。